――ティム・バートン監督・製作作品等
その製作時期や発表順、バートンの個人史を絡めながら、
それぞれの作品が何を表現していたのかを深掘りします――
※マーク付きのものは、その時期の製作に関わった作品や、作家性は薄いもののシリーズの続編であったりして何かしらフィルモグラフィーの中で意味を見出せる作品です。
基本的には製作作品はいちばん下にまとめています。
目次
🎬 ティム・バートン初期作品考察レビュー
ティム・バートン初期作品群。
物語作家/映像作家としての雛形を固め、映画監督としてのバートンの基礎を固めていた時期。
1982|ストップモーション初監督作
『ヴィンセント』レビュー準備中
バートン初監督・4分のモノクロ超短編。
ヴィンセント・プライスへの憧れと自身の異形を見つめた純度100%バートンの魂の源泉。
1984|実写映画初監督作
『フランケンウィニー』
バートン初実写映画作品・27分のモノクロ短編。
後の『シザーハンズ』等へと続く“排斥される異形”を描くバートン魂の原点と、幼年期への憧れ。
1985|長編実写初監督作
『ピーウィーの大冒険』
異形の友・ポール・ルーベンスと築いた玩具箱。
後の作品群のアイディアの原型がこれでもかと詰め込まれた映像作家バートンの原点。
1988|実写映画監督作
『ビートルジュース』
バートンの悪趣味コメディと侮る勿れ。
後の『チャーリーとチョコレート工場』まで続くバートン自身を描いた孤独な異形の一人目がここに。
⛄️ ティム・バートン“異形の孤独”考察レビュー
ティム・バートンが監督として名を上げていく時期の作品群。
古い時代の映画への郷愁からくる異形への偏愛に
自身の幼少期の孤独を重ね、その痛みを深く描いたある種の暗黒期。
この時期の作品が一番好きという人も多く、筆者も大きな影響を受けた。
1989|アメコミ実写初監督作
『バットマン』
アメコミ映画の歴史の転換点。
原作から大きく設定を変えた“精神的双子”ジョーカーvsバットマンを描く孤独なヒーロー映画の傑作。
1990|代表的実写映画監督作
『シザーハンズ』
バートンの評価を盤石にした代表作。
バートン自身の人間への恐怖、自身の異形性への恐れを手がハサミの怪物に託した哀しい恋物語。
1992|数少ない続編実写監督作
『バットマン リターンズ』
アメコミ映画の治外法権。
バートン流『オペラ座の怪人』をバットマンの世界で演じた異形の孤独をどこまでも突き詰めた傑作。
1993|ストップモーション原案製作作
※『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』
バートン原案・製作のストップモーション作品。
バートンの物語ではあるが監督作でない。ハッピーエンドに見えるが異形の世界の分断はそのまま。
🩺 ティム・バートン“トラウマ治療期”考察レビュー
ティム・バートンが闇の底から抜け出そうとしている時期の作品群。
監督としても実験期で、これまでやらなかった様々な新しい表現に挑戦している。
父親の死・子供の誕生日など個人史としても大きな動きがあり、
バートンの幼少期のトラウマが解かれた時期。
1994|マイナーモノクロ実写監督作
『エド・ウッド』
バートンが憧れた映画監督へのラブレター。
とんでもなくつまらない映画ばかり撮った人々の、人生のキラメキだけを集めた映画愛溢れる作品。
1995|アメコミ映画製作作
※『バットマン フォーエバー』
監督降板・主演交代、でもシリーズは続く。
バートンは製作に入り関わりは薄いが、自身の世界をネオンに変えたこの映画への意趣返しが後に?
1996|史上最低評価の実写監督作
『マーズ・アタック!』
バートン史上最低とも名高いカルト・ムービー。
しかしそこには自身の攻撃性と自己否定的なナード性を闘わせる不思議な二重人格構造があった。
1999|長編実写監督作
『スリーピー・ホロウ』
バートンが自身のトラウマと向き合い始めた作品。
幼少期の父との不仲を、愛するゴシックホラーの物語に乗せて語り、他者と繋がることを覚えた。
2003|集大成的実写監督作
『ビッグ・フィッシュ』
バートンが父とのトラウマに決着をつけた終着作。
人は愛をもって嘘を語り、やがて優しい物語となる……バートンのファンタジーへの結論と肯定。
2005|特大ヒット実写監督作
『チャーリーとチョコレート工場』
バートン×デップ黄金期の大ヒット作。
不思議な世界感の王道ストーリーに見せ掛けて、バートンが父とのトラウマの先を描いた個人的作品。
🎞️ ティム・バートン“原点回帰”考察レビュー
ティム・バートンがトラウマを脱し、自身の創作の根を探そうとしていた時期の作品群。
幼き頃,若い時分に影響を受けた作品や自身のデビュー作のリメイクが多く、
ジョニー・デップとの共演作が最も多い時期でもある。
人によっては一番印象が強いだろうが、個人的にはバートンの迷走期と位置付けており、
異形への共感や愛が薄まっているように感じる作品たち。
2005|ストップモーション監督作
『ティム・バートンのコープスブライド』
バートンのハロウィン・ミュージカル。
世界観はあまりにもバートンらしいのに異形が物語の外側に追いやられている違和感を感じる作品。
2010|ディズニー実写化監督作
『アリス・イン・ワンダーランド』
『不思議の国のアリス』オリジナル後日譚実写化。
不得手なCGI世界、無意味なバトル展開……デザイン以外バートンらしさはなく異形達の解釈も疑問。
2012|ソープオペラリメイク実写監督作
『ダーク・シャドウ』
70’sソープオペラのリメイク作品。
世界観はらしいがバートンが異形の存在に共感できなくなってきたことが浮き彫りになる作品。
2012|自身の原点のリメイクモノクロ監督作
『フランケンウィニー』
1984年の短編を長編ストップモーションリメイク。
尺は長くなれど深くはならず……全体に物語は散らかり、バートンの目線はフランキーにはもうない。
2014|バイオピック実写監督作
『ビッグ・アイズ』
絵描き・マーガレット・キーンの半自伝実写作品。
バートンの復活作にして、異形の子供ではなく“異形の親”の目線を自覚して描いた創作への賛歌。
2016|ディズニー実写続編製作作
※『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』
レビュー準備中
バートンのいないアンダーランドはワンダーランド……独特のアクも抜けファミリームービーに。
🧑🧑🧒 ティム・バートン“親としての異形愛期”考察レビュー
ティム・バートンが親である自身を自覚し、その視点で再び異形に向き合った時期の作品群。
これまでの孤独や痛みを抱えた異形たちを祝福し、救いを与えるような、
バートン自身の変化と成長を表した現在進行形の作品たち。
2016|隠れ名作長編実写監督作
『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』
ランサム・リグズ原作小説の実写映画化。
バートンがファンタジーの世界をファンタジーとして肯定し、異形の子供達を祝福する傑作。
2019|ディズニー実写監督作
『ダンボ』
ディズニーアニメ『ダンボ』実写リメイク。
ダンボの作品なのにダンボを描けず、人間の物語も尻窄み。バートンとディズニーの決裂決定打。
2024|36年越しの続編実写監督作
『ビートルジュース ビートルジュース』
36年ぶりに悪趣味コメディが帰ってきた。
大人になったリディアにバートンの目線の変化も重なる、死の世界から見た生への賛歌と子への祝福。
※ 製作作品(レビュー予定未定作品)
ティム・バートンが製作には関わっているものの、その作家性は特に強くない作品群。
監督の色が強く、バートンの関わりは名義貸しに近いイメージの作品が多い。
バートン作品としてはレビューしないが、何かしらの機会でレビューする可能性はある。
・キャビン・ボーイ/航海、先に立たず(1993)
・ジャイアント・ピーチ(1996)
・9〜9番目の奇妙な人形〜(2009)
・リンカーン/秘密の書(2012)