Netflixドラマ『ガス人間』(2026)第1話「インタビュー」ネタバレ考察レビュー

当ページのリンクには広告が含まれています。

特別企画:毎日更新
連続ドラマレビュー

原作映画レビューはこちら

――人々はこれから私を……ガス人間と呼ぶでしょう

by ガス人間(演:UTA)

作品データ

原題:ガス人間

監督: 片山慎三

脚本:ヨン・サンホ

リュ・ヨンジェ

原作:『ガス人間第一号』

(監督:本多猪四郎 / 脚本:木村武)

音楽:大間々昂

主題歌:サザンオールスターズ

「いとしのエリー」

製作:東宝

配信:Netflix

出演者:

ガス人間:UTA

岡本賢治:小栗旬

甲野京子:蒼井優

藤川華歩:広瀬すず

藤川富士太:林遣都

坂本守(警視総監):ピエール瀧

阿部美智子:芋生悠

吉田則夫:こばやし元樹

三浦威(東京都知事):岡部たかし

西山達也(テレビ局JNT 報道記者):伊島空

伊花純一郎(テレビ局JNT 報道局長):古舘寛治

佐野久伍(帝都大学名誉教授):モーリー・ロバートソン

小畑広紀(憩いの場「うみかぜ」施設長):酒向芳

パーム(「三好弥」店員):ローハン・ジテンドラ・ケムラニ

本レビューは第01話の完全ネタバレレビューとなります

筆者は配信全8話視聴済みですが、出来る限り01話時点のネタバレで語ります。

リメイク元映画『ガス人間㐧1号』についても言及有。

1総文字数:5006文字

読み終わるまでの時間:約13分

〜筆者より〜

本日より2026/07/02から配信開始されたNetflixオリジナルドラマ『ガス人間』の全話レビューを始める。

筆者は原作映画『ガス人間㐧1号』視聴済みであり、その比較も含めた感想になってくるだろう。

原作視聴が必ずしも必要なドラマではなかったが、テーマの描き方には通ずるものがある。

原作含め、Netflixで絶賛配信中。完全ネタバレなので、是非ドラマを観てから、観ながら8日間お付き合い願いたい。

目次

第1話短評

今回は、一挙配信とは言え全8話に跨がる連続ドラマの第1話として、物語の導入、ガス人間の能力……各登場人物の性格や目的が小出しに語られ、次回以降への期待を高まらせる作りになっている。

同時に、大規模なCGアクションやロケ撮影を主にした映像など、地上波ドラマでは実現し難い、Netflixオリジナルらしい大迫力のドラマを楽しませてくれる。

……一方で、演出にはどうも大仰すぎる部分が散見され、日韓合同製作ということで、片山慎三監督のディレクションにもどこか韓国映画を感じさせる部分がある。

第1話でそれが合わないと、ドラマ全体を観るのは厳しくなるかも知れない。

原作『ガス人間㐧1号』のオマージュを感じさせる要素にニヤリ

大前提として今作には『ガス人間㐧1号』(1960)という昭和の原作映画があるわけだが、舞台となる年代も違えば、約90分の映画を50〜60分・全8話のドラマにするわけで、同じ物語構成になるわけもない。

登場人物は大幅に拡張され、物語の進行も変わり、中心にあるテーマも違う。その上で原作映画へのオマージュも多数散りばめられており、それをどのように解釈していくかがドラマを観る上でのキーになるだろう。

第1話で注目しておきたいのは、やはり序盤でスタジオ入りする京子が取る、胸に手を当てる仕草だ。

これは原作映画においてまさに主軸となったガス人間:水野が身体をガス化する際に取る仕草であり、物語開始の段階でその原作オマージュが観られるのはニヤリとさせられる。同時に、原作では物語の狂言回しとしての役割しかなかった京子にそれをさせることが、今作においてどんな意味を成すのか……。その後の回想で、これは不眠症気味の京子に岡本が伝えたリラックス法であることも語られ、二人の絆を表す描写であることも明かされる。

原作の特徴的な動作に、こうして新たな意味が付与されるのがリメイクの楽しさだ。

第1話冒頭でガス人間の被害者となり、衝撃的な物語の幕開けを飾る佐野教授の名前も、勿論原作において水野をガス人間へと変貌させた佐野博士から取られた名前だろう。

原作と同じく、この時点では“最初の被害者”が佐野教授ということで、今作でもガス人間の復讐のターゲットの一人とされており、それも物語を読み解くヒントになりそうだ。

ただし、第1話の段階で原作からの影響を感じるのはここまで。

現状では、主要登場人物である岡本賢治と甲野京子、佐野教授といった何人かの登場人物の名前とちょっとした仕草にオマージュを感じる程度である。

原作においてガス人間の行動理念であった藤千代にあたる登場人物もどうやら存在しておらず、藤川富士太・藤川華歩の配信者兄妹もその役割とは違っているように見える。

この時点で、原作とはまったくの別物として物語を観ることが正解だ。

ある意味で第1話はそうした宣言にもなっており、終盤では今作の中心にある物語の目的を明かしてもくれるので、原作を観てからこのドラマを観た人も迷わずに済むだろう。

大迫力の映像と現代的なガス人間の“科学描写”

ロケ撮影と大量のエキストラ、クレーンカメラを用いた高さのある画

第1話は物語の導入、チュートリアルであり、この第1話の演出・物語の運びで連続ドラマは“合う・合わない”がほぼ決まると言って良い。

時に中盤〜終盤で大きく路線を変更するドラマもあるが、基本的には第1話の空気感はドラマ全体を決めるものだ。

そうした意味では、今作も見事にこの回が『ガス人間』全体の楽しみ方の導入になっている。

序盤の佐野教授の殺害による、2020年代の地上波ドラマではとてもGOサインが出ない血飛沫の量と、被害者の爆発した身体が画面に見切れる適度なゴア描写。

終盤のガス人間が警官隊を薙ぎ倒して去っていくシークエンスでは圧巻のアクションを見せつけ、そのCG処理や迫力はまさに映画並みの映像作りで、Netflixオリジナルドラマの面目躍如といったところだ。地上波ではなかなかこれだけのエキストラを用意してのアクションシーンを撮ることは難しいだろうし、この規模で作れるのはやはり配信限定ならではといったところだろう。

映像は全体的にセットよりもロケが多いようで、新、旧・文庫ラーメン周りのシークエンスもきちんとエキストラを揃え、屋外で撮影しているようである。『CINEMORE』での片山慎三監督へのインタビューによると、ドラマ全体で120箇所程度のロケ地に赴き、撮影には常に5mのクレーンカメラを使用したと言い、その映像のリアリティや質感は、セットやCG合成では容易には出せないものだ。

そうしたクレーンカメラによる俯瞰ショットが各所で用いられ、その“高さを活かした画”が効果的に活かされている。

ガス人間は身体をガス化し、その状態で空を舞い、自由自在に動き回ることが出来る。

そのガス人間の動きを最大限に魅せるために、ガス人間が登場しないシーンでも空間の広さや高低を意識した映像作りをし、ガス人間が現れるシーンではそこに圧倒的な異物が現れる恐ろしさを演出している。

生身の人間ではとても叶わない、ガスだからこその自由な動きと、それに翻弄され、太刀打ちすることの出来ない警察組織を始めとする人間たち……第1話でガス人間の特性は、しっかりと画によって表現されている。

こうした圧巻の映像により、ここから全話、すべてにおいてきちんと見所が作られ、画面は一度たりともチープさを感じさせない。

白組が作り上げたガス人間の変身は是非原作と見比べて欲しい

肝心のガス人間のCGは近年、映画『ゴジラ-1.0』(2023)で世界にその名を轟かせた《株式会社白組》が手掛けており、その表現は大作映画さながら……いやそれ以上の迫力を以って物語を彩る。

まるで本当の生き物のように躍動感のあるそのガスの動きは、やはりドライアイスの煙を用いた手作り感満載の原作映画とは比べようもなく、こうした映像技術の発展を感じる意味でも、是非原作と今作とは見比べて欲しいものである。

ガス人間がガスへと身体を変化させる際に皮膚の下の筋肉が透けていく描写も、ただ煙になっていくだけではない科学的なリアリティを観る側に感じさせ、ガス人間により死んだ佐野教授の遺体に化学火傷の跡があったという劇中の台詞も含め、この時代にガス人間を顕在させるにあたり、ある程度リアリティラインを上げる工夫をしていることもよくわかる。

オープニング映像での血管や臓器がガス化していくイメージシーンと合わせ、“人間の身体がガスになる”ということを視覚的にわかりやすく表現することで、ガス人間の存在をより立体的・現実的に表現したと言えるだろう。

……とは言え、原作映画はそもそも当時、“少ない予算で特撮映画を作る”というコンセプトで、特撮技術の創意工夫によって怪異を生み出した傑作である。

その先達と比べた時に、今回の映像演出は果たして“何か新しさを感じさせるもの”だったのか?という点では疑問が残る。

ゴア描写は言うまでもなく、ガス人間が暴れ回るアクションにしろ、同じような演出は同じく白組が関わった『寄生獣』(2014)などでも既に観たことがあり、それ自体にそこまで新鮮味はない。

身体が透けながらガスへと変質していくシーンも、そうした描写はCG技術が発達した頃からすでに散々表現されてきたものであり、『インビジブル』(2000)で透明人間が生まれる際の演出には近いものがあったと記憶している。

原作映画のレビューにて、同じように人が姿を消す透明人間との差異化を図る、当時の円谷のガス化描写の演出の素晴らしさを書いた。60年以上が経ち、CGが発達した状態で取られた演出が、別の映画の透明人間と被ってしまうのは皮肉なものである。

演出のための演出が多い?違和感の正体

同じことは物語面でも言える。

今作のガス人間は、終盤での“27年前”という言葉に象徴されるように、27年前に何かしらの事件に巻き込まれ、その復讐のために動いていると言うことが本人の口から語られるのだが……どうにもこのあたりから、ドラマの方向が何となく見えてきてしまい、今ひとつその物語にノり切れなかったというのが本音だ。

物語の中心にあるであろう、《ホワイトセンター》と言う言葉……そしてガス人間が語る「彼らはこの社会を牛耳っています」という台詞にはどこか既視感があり、国の中枢を牛耳る巨悪との戦い、というテーマになってくるのだとしたら、やや肩透かしといったところであろうか。

これは役者の印象も含めたメタな話にはなってしまうのだが、今回登場した警視総監役にピエール瀧、東京都知事役に岡部たかしがキャスティングされており、この二人がこのまま何事もなく脇役的扱いで終わることなどあり得ないことは、ドラマや映画をよく観る人間なら推測出来てしまうだろう。この二人がガス人間の出自に関わってくることは、この時点でほぼほぼ確定してしまっているような気がするのだ。

そうしたメタ読みは決して悪いことばかりではないのだが、第1話からどうにも物語の結末が想像できてしまうのもサスペンスとしては手落ち感があり、その“巨悪”が政治家と警視総監だとしたら、これは正直もう見飽きた展開であるとも言える。

その他、演出にも物語にもどうにも既視感が拭い切れないのと、“演出のための演出”が多いことには辟易としてしまった。

これは全話観た上での感想なので、第1話レビューとしては少し反則なのだが、序盤で謹慎中の岡本が食事中の食堂で助ける外国人の男性は、この物語本編には一切関係ない。

……正確には後の一部シーンで再登場するのだが、その登場の仕方があまりにもご都合主義展開なので、このシーンの存在意義にも疑問が残る。

物語上の意味としては岡本の正義感や、現代の日本社会における弱者の扱いを表す表現なのはわかるのだが、謹慎中である岡本がそれをするのも、今後の物語にそこまで活かされることはなく、そもそもこの食堂の店主があまりにも画一的なキャラクター過ぎるので、序盤の序盤からどうにも違和感を覚えてしまう。

大して大きなシーンでもないのでそこまで気にすることもないのだが、ドラマ全体にそうした違和感のある演出が積み重なっていくので、どうしても細部のアラまで気になってきてしまうのだ。

終盤ガス人間が京子のインタビューを受ける旧・文庫ラーメン跡地にしても、岡本は携帯でそのニュースを観ながら現場に急行しているが、少なくとも人を一人、TVの生中継で爆死させた凶悪犯に一般市民が接触しているわけである。

岡本たちより前に、最寄りの警官隊を向かわせ、すぐにでも取材は止めさせるべきだ。

その他にも、岡本と京子の出会いのキッカケとなった“警察24時の密着取材”にしても、2020年代の現代に、男性警官と女性記者を車の中に一晩二人だけにするような報道機関があるはずがないし、あったら大問題である。

そもそも今作の京子は原作の新聞記者と違い、TVの報道マンだ。張り込みの取材にカメラも持たず、二人だけで向かう取材に何の意味があると言うのだろうか……。

ガス人間事件が起こった後の喫茶店にしろ、店中誰もがガス人間の話題で持ちきり、という描写はこういった作品ではよくあるものの、やはり不自然さは拭えない。

今作は全体的に、シリアスで重厚なサスペンス風の物語を作り、キャストも最高の演技派を揃えている。

演技初体験のUTAにしても、その演技の未熟さが逆に棒読み気味で虚な目をしたガス人間の得体のしれなさをよく表しており、そうしたキャラクター表現自体は非常に良い。

ただ、だからこそその割に、物語の中でやっていることのリアリティラインがB級映画の如く揺れていたり、細かい部分の詰めがやけに甘いのが気になるのだ。

そうした演出と雰囲気の不釣り合いなチグハグさが、どうしても気になってしまい、観ていて集中が途切れてしまう。

新・文庫ラーメンの店主の台詞など、変に笑えるシーンもあるのだが、全体的には映像も、演技演出も重い。このバランスの悪さが、ドラマ後半でどう調和を見せてくるのかも見所の一つとなるのかも知れない。

次回へ向けて……

ドラマの終わりには、ガス人間のニュースを観る酒向芳演じる謎の男が現れ、どうやら彼もガス人間の出自、復讐に関わっているようである。

第1話、正直なところ筆者はあまりノれなかった。ただ、それでも続きが気になる作りにはなっていたし、役者の強さや画面の迫力でドラマ自体は目が離せないものになっている。

まだまだここから7話、登場するキャラクターも増えていく。今回予想した展開の通りになるかならざるか、じっくり楽しんでいこうではないか。

第2話へ続く

💨 ガス人間考察レビュー

原作映画『ガス人間第一号』(1960)考察レビュー

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次